前回の記事で災害に遭った後の保険金を受け取りやすくする方法について簡単にですが説明してきました。
自然災害で大きな被害を受けたら保険金の受け取りの申請以外にも、確定申告をする事で納める税金を低くすることが出来ます。
なので今回はその制度について説明していきたいと思います。
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【【【 】】】2つの制度について知っておこう
災害に遭ってしまったら、雑損控除、災害減免法という2つの所得税の控除や減税が出来る制度があり、どちらか有利なほうを選んで申告する事が出来ます。
災害減免法とは
災害減免法とは、簡単いうと自然災害等によって被害を受けた場合、税金を免除、軽減するための制度です。
対象の条件
この制度は、所有している住宅や家財が対象となります。ただし損害額が住宅や家財の時価(現在の購入価格ー減価償却費)の50%以上でないと対象になりません。
また、その年の所得によって所得の免除、軽減が行われます。その詳細は
- 500万円以下・・・・・・100%免除
- 500万円~750万円・・・ 50%軽減
- 750万円以上・・・・・・25%軽減
以上のようになります。所得が1000万円を超えると災害減免法が使えなくなります。
なので、所得が1000万円以下で損失が50%以上でないと使えません。
雑損控除とは
雑損控除とは、簡単いうと災害減免法のように自然災害等によって被害を受けた場合、税金を軽減するための制度です。
災害減免法は条件によっては、全額免除ですが雑損控除は、全額免除はありません。
ただそのかわり、雑損控除の金額が大きかった場合、最長で3年間、損失の繰り越しが可能でその間は毎年この控除を受ける事が出来ます。災害減免法が受けられるのはその年だけです。
雑損控除の計算法
雑損控除の金額の計算法は
- 差引損失額 - 総所得金額等 × 10%
- 災害関連支出の金額 - 5万円
上記の通り2種類あり、多い方を控除できます。
災害関連支出の金額とは
災害関連支出とは、被災した住宅や家財の取り壊し、撤去にかかる費用、被災して1年以内に支払った原状回復や土砂などを取り除く為に掛かった費用のことです。
差引損失額とは
住宅や家財などの資産額と災害関連支出から保険金を引いた金額のことです。
どっちを有利?選ぶポイントは?
まず、所得が1000万円を超える方は災害減免法の対象外なので、雑損控除だけしか使えません。
逆に所得が500万円以下は全額免除なので、災害減免法を使った方が有利となします。
ただし、雑損控除は3年間繰り越すことが出来るので、損害額大きく、所得金額によっては、損害の繰り越しができる雑損控除を選択するほうが有利なことがあります。
熊本地震の際は確定申告の前に税理士会が無料の相談会が開かれていたので今後も災害が起こった後にそういった相談会が開催されるかと思いますのでどちらが有利か相談して決めるといいでしょう。
必要書類をそろえよう
どちらが有利か判定する損失計算をする際、確定申告をする際に必要な書類があるのでその用意もしておきましょう。必要な書類は
- 被害を受けた住宅の取得年月、床面積及び自家用車の取得年月などが分かるもの(売買契約書などでその取得価額の分かるもの及び修繕費などの災害関連支出の領収証が残っていれば併せてご用意ください。)
- 保険金等で補填される金額がある場合、その金額が分かる書類
- り災(被災)証明書の写し
- 源泉徴収票(サラリーマンの方)などの確定申告関係の書類
- 振込先金融機関の口座番号(申告する方の名義の口座のみ)の分かるもの、印鑑
上記のものが必要になります。
いかがでしょうか、雑損控除と災害減免法についてお分かりいただけたでしょうか?
自然災害に遭った後に大変な時にあれこれ書類を用意したりどっちが有利か考えたりするのは厳しいかもしれませんが、災害に遭った後確定申告すれば税金が減らせることだけでも覚えておいて下さい。